求道庵通信今月号 (第334号)
*安心について-(7)
★古い経典の一つである『発句経』(真理の言葉)に、「心」について述べられた章があります。
その最初の言葉に、「心は、動揺し、ざわめき、護り難く、制し難い。英知ある人はこれを直くする。」(『心理のことば・感興のことば』中村 元 先生訳 岩波文庫)とあります。
英知のある人(自ら悟り開ける聖者)なら、自分の心をしっかり制御して、何事が起っても動揺することのない状態を作り上げることができるでしょうが、私たち凡夫には自分の心を何事にも動揺させることなく制御できる人は皆無でしょう。
いつも何かしらの問題を抱え、「不安」の中をうろたえるばかりで、これで一生を終えてしまうのが、私たちの現実の姿です。
その私たちの当てにならない心に、真実の心、本当の安心を与えて救うために働き続ける「南無阿弥陀仏」なのです。
「南無阿弥陀仏」は仏であり、真実の心であり、真実の心を与えて救う働きそのものでもあります。